宣伝

ああ。

うっかりしているうちに、前の記事から日にちが経っている・・・。

「超短編の世界 vol.3」

出てます。
素敵な本です。どこを開いても、どこから読んでも楽しめます。
私の作品も、3本掲載していただいてます。

ぜひ買ってね。

宣伝活動として、電車の中でカバーをかけずに読んでます。
地味な活動・・・。
でも、人が読んでる本って気になってついつい見てしまうよね。
見てしまうはずだ。

人が食べてるものも、なんであんなにおいしそうに見えるんでしょうね。
昨日、梅林で桜餅を食べている人を見かけたけど、めっちゃおいしそうやったな。

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約5年ぶり

久しぶりに競作に参加しました。
最後に参加したのは、2006年のようです。・・・そんなに間が空いているとは思わなかった。
いや~、競作楽しいね。めちゃくちゃ緊張するけど。選評してくださったみなさんありがとうございました。
(お礼は掲示板に書かないと届かないんだけど、掲示板苦手なので、せめてここで・・・)

競作に参加していなかった期間、いろんなことをほったらかしにしていたので(ブログとか、mixiとか)、変化についていけてません。
機能がいっぱい増えて、もう何がなんだか。記事を書こうとしても改行するのに一苦労。
さっき下書き保存した記事はどこに行ってしまったんだろう・・・。

mixiに関しては、怖くて開くことすらできなくなってしまったよ。

今年はちょっとずつ、このブログも更新して行けたらと思ってるので、
よろしくお願いします。

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あおぞらにんぎょ(超短編)

 芝生に寝転がっている僕の周りで、キミがつたない足取りでボールを追いかけている。桃色のスカートはまるで人魚の尾ひれみたいに忙しくひるがえる。

 僕は目を閉じた。まぶたの裏には空の青が残って、ひらり、ひらりと、桃色の尾ひれが横切っていく。

 やわらかな春の日差しとキミの笑い声に浸っていると、僕の中で幸せな気持ちが増幅されていくんだ。

 桃色の尾ひれはいつまでも優しい熱を放ち続けるから。

 何度でも僕はこの残像だけで満たされてしまい、極彩色の沼から抜け出せない。

500文字の心臓 競作 「あおぞらにんぎょ」

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はじめて(たぶん)、父親視点で書いてみました。

大人になったねえ。私。

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十字路(超短編)

 うっかり夏至の日の正午ジャストに十字路のど真ん中に立ってしまった。

 足元を見ると四方向に自分の影が伸びている。

 気づいた直後、目の前のマンホールからジャーン! ってウサギが飛び出し、東側に伸びた僕の影を耳のハサミでちょん切って持ち去ってしまった。慌てた残り三つの影が足元でこんがらがって僕は完全に身動きが取れなくなってしまう。

 ウサギから影を取り返さないことには僕はここから動けない。やつは必ずこのマンホールに戻ってくるだろうから、その一瞬を狙ってぶん殴ってやるしかなかった。

 通行人が、まぬけな僕ともがく影をまじまじと見ていく。

 四分の一を持ち去られたせいなのか、もしくは絡まったことを恥じているのか、僕の影は正午前より白かった。

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祈り(超短編)

 冷たい水に足を浸し、少女は手紙を湖面に浮べる。

 白い紙切れは湖の真ん中へと滑るように流されていった。水が滲み手紙は沈んでいく。少女が綴った言葉は便箋から一言ずつ剥がれ、湖の底に降り積もる。

 少女が立ち去った後、湖の中央から水琴窟の音色のような硬質な音が鳴った。同時に仄かに光を帯びた波紋が広がっていく。

 またひとつ音が鳴り、波紋が生まれた。

 遠い遠い昔から、たくさん人がこの湖に手紙を流してきた。届かない、届けることの出来ない言葉は、湖の底で幾層にも重なって沈んでいる。

 長い年月眠っていた言葉は、ふいに浮かび上がる時が来る。泡のように水面で弾け、その時あの美しい音が鳴るのだ。

 ひとつ、ふたつと弾けたものが呼び水となって、いくつもの言葉がまるで空に降る雨のように浮き上がった。高さの違う音が次々と生まれ音楽になる。光の同心円は複雑に重なって、湖全体が白く発光したようになった。

 驟雨のようなその音色は森を越え少女の村にも届く。

 伝わることのなかったいつかの思いを乗せて、音楽は優しく世界を包み込む。

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乗車券(超短編)

 夜道に浮かび上がる自動販売機の光。

 意識して見ていれば、他と比べてほんの少し温度の高い光を放つものが見つかる。

 その販売機は、商品とボタンの数が合わない。ボタンがひとつ多いのだ。

 試しに硬貨を入れてあまったボタンを押してみる。にぶく機械が動く音がして、何かが取り出し口に落ちた。

 小さな紙切れだ。水色の厚手の紙に数字と文字が印字されている。何かの乗車券のようだった。字はかすれていて読み取りにくい。光の中で角度を変えながら目をこらしていると、狭い道に無理に侵入してくるバスがある。

 手の中の紙切れと同じ色をしたそのバスは、自動販売機の前で停止し前の扉が開いた。無表情な運転手が乗車券をよこせとばかりに腕を伸ばしてくる。引き寄せられるようにステップをあがると、扉は閉まりバスは動き出した。運転手の他は、一番後ろの席に小さく座る少女がひとり。

 フロントガラスの上、行き先に書かれた町の名前をあなたは知らない。

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宝探し団 (超短編)

 残業ですっかり遅くなった帰り道、背の低い黒ずくめのおじさん集団とすれ違った。一緒に歩いていた同僚が振り返って「宝探し団だ!」と言う。最近、近辺の複数の公園の砂場が、夜のあいだに全て掘り返されるという事件があり、宝探し団の仕業だとのうわさが広まっていたのだ。僕たちは無言でうなずき合い、黒ずくめ集団の後を追ってみることにした。
 いくつかの角を曲がると、川の堤防の前に出た。宝探し団はまわりを気にするでもなく、準備していたはしごを堤防にかけて、ひとりずつのぼっていく。全員が堤防の上に立つと等間隔に並び、背中に差していた、たも網をいっせいに掲げた。たも網の柄はめちゃくちゃ長い。
 同僚が僕のそでをひっぱった。近くの橋を指さしている。ここからでは宝探し団が何をするのかさっぱり見えないので、僕たちは橋の上に移動した。
 一番手前にいるのがリーダーのようだった。彼の号令とともに団員たちは、「エメラルドー、ほい! エメラルドー」と、野太い声にあわせて川の水をざぶざぶとすくいはじめた。やがて彼らが引き上げた網には、きらきらと緑色に輝く小さな石のようなものがついていた。「今日は少ないな」「結晶化はまだ早かったか」そんな会話が聞こえてくる。そしてリーダーの合図で宝探し団はすばやく去っていった。

 彼らが網を入れていた川面は、すぐそばのビルの、緑色のネオンがあざやかに映り込んで、大きくゆらいでいる。

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パール (超短編)

 しゃん。しゃん。しゃん。

 霧雨が降る夜に、鈴の音が等間隔に響く。

 森から続く道。鈴を鳴らす少年の後ろを、うさぎの着ぐるみをかぶった幼い少女たちがついていく。彼女たちが持つランタンが、暗い夜道を照らしていた。

 道の先に、その一帯だけやわらかな光に満ちている場所があった。彼らはそこへ向かっている。

 光源は花だった。道の両脇に並ぶ木に、和紙で作ったような白い花がぎっしり咲いている。その花が内側から光って、まるでシャンデリアのようだった。

 鈴が鳴りやむと、うさぎの少女たちも立ち止まった。彼らはそろって空を見上げる。

 霧雨に混ざって、空から大粒の雫がゆっくりと、螺旋階段を転がるように落ちてきた。近づくにつれ、雫は花の灯りを吸って白く発光していく。地面にぶつかるとコツンと硬い音がして、彼らの足元に転がった。雫はいくつも落ちてくる。

 うさぎの少女たちは、丸いしっぽを左右に振りながら、散らばる白い雫を拾っておなかのポケットに集めた。霧雨がやみ、落ちてきた雫を拾い集め終わると、少年が鈴を鳴らした。少女たちは急いで整列する。

 しゃん。しゃん。しゃん。

 少年を先頭にして、来たときと同じように彼らは森に帰っていった。

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純愛 (超短編)

 彼女が不治の病にならないかな。

 そしたら、僕は仕事なんかほったらかして、朝も夜も彼女のそばにいて、永遠の愛を誓って、でも彼女が死んじゃった数年後に違う女の人と出会ってしまって、罪悪感にさいなまれてみるのに。

 僕たちがケンカばかりするのは、彼女が健康すぎるからなんだ。

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守り神 (超短編)

 ある日、蛸が家にやってきたのだそうだ。
「玄関の門柱にのってたの。にょろんと」
 はじめて彼女の家に遊びに行ったとき、玄関の引き戸についているへんてこな飾りに見入っていると、彼女が話してくれた。
「その蛸が『先日のお礼に参りました。私を飯田家の守り神にしてください』って言ってね」
 ちょうど日曜日だったので家族全員そろっており、その場で会議が開かれたのだが、誰一人、最近蛸にかかわった記憶がなかったので、祖父が代表して、何かの間違いではないかと蛸に話してみた。が、頑固な蛸は私が間違うわけがないと言ってきかない。
「もう全然話にならないから、玄関の戸をピシャって閉めてやったの。そしたら蛸が戸にはりついちゃって、そのまま守り神になっちゃったのよね」
「守り神なんだ、これ」
 蛸と言われれば蛸にしか見えなくなったへんてこな飾りに僕は顔を近づける。
「うん。まあ自称だけど。あとで分かったことなんだけど、この蛸を助けたのは、向こうの筋の山田さん家のおばあちゃんだったらしいのよ。でも判明したときにはもう吸盤が取れなかったの。それが十五年前のこと」
 かわいい話でしょ、と彼女は守り神の丸い部分をなでまわした。僕は神様に手を合わせてから、彼女の家に入った。

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