手品通り(超短編)
最近越してきた町には、手品通りがある。
駅前のさびれた商店街の、一本中に入った薄暗い筋がそうだ。
自転車では行き来できないほど狭い通りには、スナックみたいな古びた店がずらりと並んでいる。店の窓はほとんど開いていて、手品師が通りすがりの人に向かって黙々と手品を繰り広げていた。帽子からハトを出したり、絡まっている輪を一瞬で外したり、手品の種類はさまざまだ。
仕事の帰り、たまにこの道を選んで帰ってみるのだが、いきなり「このカードですね」とトランプを見せられても、何のことなのかさっぱり分からない。
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