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2017年5月14日 (日)

ラクダの紅茶店(超短編)

 空がラベンダー色に染まると、木々に吊るした星型のランタンに明かりが灯り、『ラクダの紅茶店』がオープンする。

 ぽっかり空いた森の広場に店はある。そこで待っているのはラクダの店主と、たま子さんだ。三年前、隊商の一員として砂漠を何往復もしていたラクダの主人と旅人だったたま子さんが出会い、いろいろあってこの森で店を開くことになった。

 模様の美しい絨毯も、なめらかなテーブルに品のあるティーセットも、調度品はすべて主人が選んだものだ。それらがエキゾチックな雰囲気を作り出している。たま子さんがていねいに淹れる紅茶がまた絶品だった。たっぷりの茶葉を使って煮出す濃厚なミルクティーは、砂糖を多めに入れて甘くして飲むのがいい。

 今日のお客は三組。リスの夫婦とウサギの女の子と人間の私。たま子さんも一緒にテーブルについてみんなでのんびり語り合う。主人の砂漠の思い出話はいつ聞いても興味深い。夜も深くなり、次はコケモモのジャムを持ってくることを約束して私は帰ることにした。入れ違いにキツネとフクロウがやってくる。

『ラクダの紅茶店』は朝が来るまで、あたたかな光と楽しいおしゃべりで満ちている。

 

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