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2017年9月 7日 (木)

永遠凝視者(超短編)

 海面から突き出た岩の上に今日も『岩じい』はいる。大雪の日も、猛暑の日も、岩の上にただ座り続けていた。岩じいは百年以上前からいる妖怪だと、この町の小学生は本気で信じ怖れていた。だが成長するにつれ誰も気に留めなくなる。道路の真ん中に祀られている木のようなものだ。ふいに思い出しては一瞬不気味に感じる、そんな存在だった。

毎日岩の上で何をしているのか町の誰も分からない。だが僕だけは知っていた。

『この、うち寄せる波がひと時でも止まればあなたと一緒になりましょう』

 岩じいにそう言ったのは僕、正確には三つ前の前世の僕(女)だ。岩じいはその言葉を信じ、決して見逃すことがないよう昼も夜も岸から離れなくなった。すでに別の男と恋仲であった僕はそんな岩じいを無視し、やがて存在すら忘れた。

 教室の窓から海岸が見える。怖いもの見たさで岩じいを探す。何かが違うと思ったのと同時に、心臓が氷の手で握りつぶされた。こっちを見ている。やっぱり生まれ変わりの僕に気づいているんだ! 執念で何百年も生きている岩じいならそのうち波だって止めてしまいそうで、約束を果たせといつか襲ってくるんじゃないかと、僕は気が狂いそうなほどの不安と闘っている。

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500文字の心臓 投稿作

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